ふじみ野周辺おすすめスポット情報

  • 公開日:毎週木曜日
        ただし、年末年始(12月23日~1月15日)は除く。
    公開時間:10:00~16:00(4月~9月)
         10:00~15:00(10月~3月)
    見学料:無料

所沢市の跡見女子大裏手にひっそりとある古民家を訪れてみました。
実業家で茶人でもあった松永安左エ門氏(耳庵)の旧別荘で、名は「柳瀬荘」。
現在は東京国立博物館に寄贈され、保存管理されています。

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敷地面積は17,235㎡。
中心となる「黄林閣」は東久留米の旧名主・村野家の住宅を松永氏が移築したもので
武蔵野民家の遺例として国の重要文化財に指定されています。

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江戸末期の建造物で天保期の民家の特色が各所に残っています。

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東久留米で建築した当時は2階建ての農家が幕府により禁止されていたそうなんですが
通常の2倍の長さの柱を利用していたため、平屋建てでありながら2階建て規模の巨屋となり、
武蔵野・関東では最大級の農家だったそうです。
確かに天井がものすごく高い!

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階段があるところを見ると、2階を増築した・・のかな?

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今の管理人さんになる前は実際に前管理人さんとご家族が居住していらして
こちらは生活スペースとして非公開だったそうです。

この障子の奥も片付けていつか公開したい、とおっしゃっていました。

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斜月亭(書院)

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数奇屋風書院造の建物。
東大寺や当麻寺などの古材を使って造られたと伝えられています。

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少しモダンな感じの色・模様使いですね。
「斜月」の文字は当時の総理大臣近衛文麿の書です。

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派手目の襖絵は書院にしては珍しいもの、松永氏の個性が現れています。

 

久木庵(茶室)

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もとは江戸時代初期の越後の武士・土岐二三の茶室で
解体保存されていた材料を用いて建てかえられたものだそうです。

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斜月亭から続く廊下。温かく趣があります。

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中門

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石階段と門の向こうに美しい庭が見えます。
雨の中でも緑が美しく、癒される空間です。
この門は小川町の慈光院という古い寺にあった藤原時代の門の古材を譲り受けて造られました。
慈光院には新しい門を作って寄進されたそうです。

 

長屋門

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階段をひたすら下った駐車場脇にあります。
当時の長屋門の向こうには美しい竹林が広がっていたそうです。
黄林閣と同じく村野家から譲り受けたもので、当時は茅葺屋根だったとか。

 

他にも茶室「耳庵」「春草廬」、
奈良から持ってきた藤原期の仏像を安置していた「松風祠」
奈良の長岳寺から移設された石造の「五重塔」、
京都の古い寺から移された「法華塔」、
蓮池などもあったそうですが、現在この地に残されているのは上記写真の建物と庭のみ。

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※柳瀬まちづくりセンターの展示より

茶室「春草廬」だけは上野の東京国立博物館の庭園に移築され、
現在も同地で見学することができます。

ちょうど9月に松永氏を描いたNHKドラマ「鬼と呼ばれた男」が放映されることもあり、
柳瀬まちづくりセンターでは「黄林閣と松永安左エ門」の特集展示中です。(2015年9月2日~9月27日)

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建物を見るだけでは分からない、松永氏の人となりがよく分かる展示になっていますので
柳瀬荘に行くついでにこちらで勉強していくことをおすすめします。

(2015/09/10取材)

【松永安左エ門氏】
電力事業に生涯をささげ「電力の鬼」といわれた実業家。
長崎県壱岐の出身で、九州および中京地区に相次いで電力会社を創設し中央財界へ進出、
第2次世界大戦後には政府機関の要職につき9電力会社を発足させました。
60歳より茶道をたしなんで名器を集め、ここ柳瀬荘をにおいて数々の茶会を催し、
数奇者としての名をほしいままにしました。
1948年、それまででに収集した美術工芸品を柳瀬荘とともに東京国立博物館に寄贈し、
それらは同館の貴重な収蔵品となっています。


アクセス:
東武東上線志木駅から跡見女子大行きバスで15分「中野」下車徒歩5分
西武池袋・新宿線所沢駅から志木駅南口行きバスで25分「西側」下車徒歩3分